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ブラック・マンデー
Black Monday   No.3
Since 2002/Aug./01
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 関口支店長が田辺課長に市場金利の動向について質問した。

 「今後の金利の動きはどうかね?」

 「アメリカの経済の状況からみて、ここしばらくはドル金利が上昇すると見ています。

 アメリカ経済は好調ですし、ニューヨーク株式市場も上昇傾向ですね。だから、少し引き締め気味にしてくると思います。」

 田辺課長が答えた。


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 ごく一般的に言うならば、それぞれの国で景気が良くなると、その国の中央銀行は、金利を上げる。

 逆に景気が悪くなると、金利を下げる。


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 「そうだな。私も田辺くんと同じ意見ですね。」

 篠原副支店長も関口支店長の質問に答えた。


 関口支店長が質問を続けた。

 「じゃあ、ドル金利が上昇すると仮定して、そこから収益をどのように生み出すかだ。」


 田辺課長が答えた。

 「単純に言って、二通りの戦略があります。
 それは、全く逆の戦い方ですが。
 『取る』方法と『出す』方法です。」


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 金利の取引の場合、『取る』とはその時の市場金利(マーケット・レート)で資金を借りることだ。

 『出す』とはその時の市場金利(マーケット・レート)で資金を貸し出す(他の銀行に預金する、銀行間取引で資金を預ける)ことだ。


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 田辺課長が続けた。

 「ドル金利が上昇すると仮定した場合に、その時の市場金利(マーケット・レート)で資金を『取って』、後で思惑(おもわく)通りに金利が上がってから資金を『出せ』ば利益になります。これが『取る』方法です。」

 金利が安い時にお金を借りておいて、金利が上がったら、その高い金利で誰かに貸付ければ、その利鞘が利益になるということだ。

 田辺課長が立ち上がって、窓際にあるホワイト・ボードに黒のマジックで計算式を書きながら話を続けた。

 「具体的に元本を1億ドルにしましょう。

 タイム・ラグ(時間的なずれ)がありますから、そう単純な計算にはならないのですが、便宜上、単純に想定しましょう。

 現在の1年の金利が7パーセントとします。
 この7パーセントで1億ドルの資金を『取って』、8パーセントに上昇してから『出す』と、


 [(8%−7%)x 100,000,000 = 1,000,000 ]


 一年間で百万ドルの利益になります。」

 俺は
 『なるほど。』
 と思って聞いていた。


 田辺課長が話を続けた。

 「逆の『出す』方法は、イールド・カーブ(金利曲線)を利用する方法です。

 仮に、オーバー・ナイト金利が6パーセント、1年が7パーセントとしましょう。」


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 オーバー・ナイト(Over/Night, O/N)とは、今日から明日にかけての一日の資金の貸し借りのことだ。

 あくまでも一般的な状況の場合だが、オーバー・ナイト金利が一番低金利で、期間が長くなるに従って金利は高くなる。

 だから、縦軸に金利の高低を、横軸にターム(Term, 期間)をとると、イールド・カーブ(金利曲線)は右上がりのグラフになるのが普通だ。

 お金を借りる際に、借金の期間が長くなると金利は高くなる。

 銀行にお金を預けるときに、預け入れの期間が長くなると金利は高くなる。

 常識で考えた方が分かり易い。


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 「1年を7パーセントで『出します』。

 これをオーバー・ナイトの6パーセントでカバーすると、一日につき、1パーセントの利鞘が入ります。

 わかりやすく、これも、元本を同じ1億ドルにしましょう。

 すると


 [(7%−6%)× 100,000,000 ÷ 360 = 2,777.78 ]


 ということになり、一日につき2,777.78ドルの利益が手に入ることになります。

 ということは、一年を360日で計算しますと、

 [2,777.78x360 =1,000,000.80 ]

 一年間で同じく百万ドルの利益になります。」


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 慣行で、ドル金利の短期金融市場では1年を360日ベースで計算する。


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